編集

シーケンスで動画の流れを作る。

素材をくっつけて動画の流れを作る。

私が動画編集を始めたばかりの頃、動画というのはシンプルに動画と動画がくっついてできているという当たり前なことを教えてもらった時、「動画って意外と簡単だ。」と感じたことを覚えています。

動画編集と聞くと昔は特に難しいイメージがありましたが、「一つ一つの動画素材が連続して繋がっているのが動画」ということを理解した途端、動画編集に対するハードルが一気に低くなったのです。

上記の様にシーケンスに取り込んだクリップを繋げていけば一つの動画が完成します。動画制作というものは難しいものではなく意外にシンプルだということを覚えておいてください。

タイムラインパネルとシーケンス

さて、動画クリップを繋げていくだけで動画ができますが、そのクリップの操作などを行う場所を少し理解しておく必要があります。

その主な操作を行う場所をタイムラインパネルといいます。

初期設定ではPremiereProの画面右下の箇所がタイムラインパネルです。(下の図の④)

また、タイムライン・パネルの中にはシーケンスと呼ばれる「クリップの集合体」を表示させる箇所があります。

タイムラインパネル

ワークスペース内でシーケンスを表示させる箇所。タイムラインパネル内に複数のシーケンスをタブで表示できる。

シーケンス

取り込んだメディアを並べてカットして、動画全体の流れを作る箇所

タイムラインとシーケンスの違い

少しややこしいですが、「動画クリップの流れや動画の設定を個別にできるのがシーケンス」「それぞれ設定の違うシーケンスを全部まとめて表示しているスペースがタイムラインパネル」と理解すればわかりやすいかと思います。

上記のようにタイムラインパネルの中に複数のシーケンスを表示させることができます。シーケンスを複数作るというのは同じ同じ素材グループ内で異なる動画を複数作成する際に(例えば15秒動画と2分動画を作るなど)、別々にシーケンスを作成して動画を作ればスムーズに作成できます。

トラックを理解する。

タイムラインパネルでシーケンスが表示されているということがわかったかと思います。

そしてシーケンス内をよく見てみると多くの横線があり、階層に分かれています。

この階層のことを「トラック」と呼びます。

トラック

タイムラインパネル(シーケンス)内に表示される階層。動画やオーディオ素材をこのトラックに配置していくことで動画の流れができる。

プロジェクトパネルの動画素材(クリップ)をタイムラインパネルにドラッグ&ドロップすれば動画の流れを作れますが、ものすごく厳密に言えばタイムラインパネル内のシーケンス内のトラックにクリップを挿入すれば動画の流れを作れるということになります。

基本的には先ほどの操作方法のように動画素材を選択し、ドラッグ&ドロップすれば問題ありません。

トラックはビデオとオーディオに分かれている

一般的に動画は「映像」と「音」がセットになっています。そのため、Premiere Proにおいてもクリップは通常、映像と音がセットになっています。

クリップの上の四角が映像、下の四角が音

そしてこれはトラック全体にも同じことが言えます。

中央の太い線を境にトラックの上半分はビデオ(映像)、トラックの下半分はオーディオ(音)です。上半分のトラックの左に「V1」「V2」といった表記があり、下半分のトラックには「A1」「A2」と表記があることからも、映像(Video)と音(Audio)に分かれていることが判断できます。

上半分のビデオトラックには動画映像だけでなく、テロップ、ロゴ、画像といったBGMや音声以外のクリップは全て上部に格納されます。

クリップは自動でビデオかオーディオかを識別してくれるので、どちらかを選択するなどといった心配は要りません。

「再生ヘッド」で動画の瞬間を映し出す

トラックを垂直に横断している青い線は「再生ヘッド」と呼ばれています。

この青い線が動画をプレビューで再生する際の開始位置となります。

その他にもクリップをカットしたり調整する際の目印の役割も果たします。

再生ヘッド

トラックに垂直にまたがる青い線。動作再生の開始地点として動画の瞬間を映し出すポイント。クリップのカットや長さ調整の目印としても利用できる。

トラックヘッダー

なお、トラックの左側には「V1」「A1」「M」「S」といった文字やアイコンのあるエリアがあります。これを「トラックヘッダー」と言います。

トラックヘッダー

トラック左側に表示される文字やアイコンのあるエリア。個々の設定を使いこなすと動画の挿入や移動、コピーなどがスムーズに行える。

ただし、このトラックヘッダーはマスターするまで少し時間がかかるため、マスターすればクリップを違う形でトラックに挿入することができるのですが、初心者の方は現状あまり理解していなくても問題ありません。

強いて言うのであれば、「目のマーク」はトラックごとに映像のON/OFFの切り替えができ、「M」はミュートの意味でトラックの音声のON/OFFの切り替えができます。

編集が複雑になっていき、トラックが階層化されていくときに、不要な映像/オーディオ部分を非表示したいときに利用します。

動画の構成が複雑になってくるとトラックヘッダーを使いこなしていた方が、動画の編集がスムーズにいくので、気になる方は以下の記事をチェックして見てください。

操作アイコンについて

①ネストとしてまたは個別のクリップとしてシーケンスを挿入または上書き

②タイムラインをスナップイン

③リンクされた選択

④マーカーを追加

⑤タイムライン表示設定

⑥キャプショントラックオプション

初期段階で理解しておくべきは②と③です。初心者の方はその他のアイコンは気にせずに、現時点では無視しましょう。

磁石のようにクリップがくっつく「ナップイン」

トラック上でクリップを動かすときに、配置したい位置にドラッグすればクリップは移動しますが、通常はクリップを重ねると隣接するクリップの端まで上書きされてしまいます。

ナップインは直感的にクリップとクリップを磁石のようにくっつけてくれます。クリップ同士が重なり合っても上書きされることがないため、クリップの尺を変えずにクリップの結合ができます。

ナップイン

クリップとクリップを磁石のようにつなげてくれる。これがONになってないと、クリップが重なると上書きされクリップの一部が短くなるため、特段理由がなければ、ONにしておく。

ナップインがOFF(クリップを寄せてもくっつかない)

ナップインがON(クリップを寄せると自然とくっつく)

ビデオとオーディオを常に同時移動「リンクされた選択」

前述の通り、クリップは通常「ビデオ(映像)」と「オーディオ(音)」の2つがセットになっています。

通常はクリップを挿入しトラック内で動かして編集をする際、ビデオクリップとオーディオクリップが撮影時のままリンク(一致)した状態で動かすのが一般的です。なぜなら撮影時の映像と音声がシンクロしてなければ、映像と話し声にズレが生じてしまうからです。

リンクされた選択がON(ビデオクリップとオーディオクリップがリンクしたまま移動する。)

しかし、編集を続けていくと、映像と音を別々に動かしたい時があります。例えば編集している動画の中に、撮影した別のビデオクリップをインサート映像(メインの動画の流れの途中で参考動画のように挿入される映像)として利用したい場合、このクリップの音は不要になります。編集している動画にも音声があるため、音が被ってうまく聞こえなくなるからです。

そんな時に、ビデオクリップとオーディオクリップがリンクしてくっついていると不便です。

リンクされた選択をOFFにすれば、ビデオクリップとオーディオクリップは別々に動かすことができる様になります。

リンクされた選択がOFF(ビデオクリップとオーディオクリップが別々に移動する。)

上記の通り、ビデオとオーディオを分離して動かすことができれば、他のクリップと組み合わせる際に映像だけインサートとして利用するなど動画編集の幅が広がってきます。

なお、ビデオクリップと映像クリップが分離されると上記の写真の「-3:12」「+3:12」のようにそれぞれのクリップが互いにどれくらいの時間離れているかを表しています。上の例だとビデオクリップはオーディオクリップに対して「3:12秒」手前に離れていて、逆にオーディオクリップはビデオクリップに対して「3:12秒」後に離れているということになります。

これを知っていればトラック内のクリップ数が何百以上にもなった時に、どこのどのクリップが元々一緒だったのかを判断することができるようになります。